超新星爆発の早期発見と即時フォローアップにより親星の最期の環境に迫る

通常天体観測の対象は季節になれば現れる。

例えば「土星を観察したい」と思ったら土星のシーズンになれば土星は東の方角から現れるので望遠鏡を向ければ観測できる。

しかし当天文台のターゲットである超新星(super nova)は突発天体である為いつどの銀河に現れるかわからない。我々の住む天の川銀河でも100年に1個くらいの確立で出現しており実際に日本でも平安時代の公家藤原定家の日記「明月記(国宝)」にその記録が残されている。とは言え100年も天の川銀河内で起こる次の超新星爆発を我々研究者は待つわけにはいかない。この広大な宇宙には銀河は無数に存在する。つまりそのうちのどこかでは確率的に今超新星がみられるだろう。

 

それらをいち早く発見し、より深く分析することが超新星爆発の観測的未解決問題を解決する鍵になるであろう。

 

現在日本でも精力的に超新星爆発の観測的研究が行われている。

ただ、可視分光の極限等級は16等程度である。

つまり爆発初期(図の光度曲線の点線部)の分光データは希少で不透明な部分が

多い。しかし未解決問題の謎を解く多くの鍵はこの部分に隠されている。

早期に発見するだけでなくより深く分光観測が可能な大型望遠鏡で精密に観測する必要がある。

 

国外には3m級の大型望遠鏡は存在する。しかし、いつどこに出現するかもわからない超新星を即時にフォローアップのを目的としているわけではない為すぐさま望遠鏡を向けるのは難しいであろう。

救世主!岡山3.8M望遠鏡

今日本には新たな望遠鏡が作られようとしている。

京都大学3.8m望遠鏡でアジア最大の大きさを誇る。

この望遠鏡は突発天体を観測対象としており更に18-20等の暗い天体の分光もできる。

 

当天文台で早期に超新星を発見し、そのデータを岡山3.8mにまわしフォローアップ観測

を行うことで早期の分光データを取得でき超新星爆発の観測的未解決問題解明へつながる

と期待している。