8~30太陽質量の星の最期

図:重力崩壊から超新星爆発が起こるまでのプロセス

大質量星は進化が進みごとに重い元素を核融合で生成する。

太陽のような小、中質量星だとC(炭素)+O(酸素)が形成された段階で電子の縮退圧が働き、それ以上星が収縮することなく安定し白色矮星(white dwarf)が形成され外層は惑星状星雲となるため静かにその一生を終えるが8太陽質量を超える大質量星となれば話は変わる。

 

そもそも核融合で元素合成を行うのに必要な条件は「温度」だ。

元素ごとに燃焼温度というものが存在し、その温度に達する事により核融合が始まるのである。実際、重たい元素程燃焼温度は高く、より過酷な環境が必要なのである。また星は大質量星程、進化するにつれ中心部を圧縮し高温にすることができる。

8~10太陽質量の星が形成するO+N+Mg COREと逆ベータ崩壊

星の中心温度が8×10^8 Kになるまで星が中心部を圧縮することができれば、炭素(C)燃焼がはじまり、酸素(O)とNe(ネオン)とマグネシウム(Mg)からなるO+Ne+MgCoreを形成する。次に燃焼を起こすのはネオンだがこの程度の質量の星だとこれ以上中心を圧縮することができない為、この時点で電子の縮退がおき、白色矮星となる。このO+Ne+Mg白色矮星は小、中質量星の最期に形成されるC+O白色矮星に比べ重いのが特徴だ。これで何事もなく外層が失われれば何の問題もなく白色矮星となるが、外層が残っていると、殻燃焼によりCoreの質量が増え続けていく。

 

白色矮星というのは電子の縮退圧で支えられている。密度が高ければフェルミエネルギーも高くなる。

通常の環境であればベータ崩壊を起こして、不安定な原子核を安定させようとする反応を起こす。しかしそのような過酷な環境であれば、電子の座席がぎっしり埋まってるので放出するよりも逆ベータ崩壊という電子を捕獲する反応を起こしたほうが安定する。

 

この逆ベータ崩壊が起こると電子の数は減少する。白色矮星は電子の縮退圧で支えられる為、支ええている電子の数が減るとCoreは不安定になり、重力崩壊への道をたどる。

10太陽質量を超える星が形成するFe COREと光分解

10太陽質量を超える星は縮退圧の影響を考える必要はない。

白色矮星の存在できる質量というのは限界がありチャンドラセカール質量限界と呼ばれているが、これらの大質量星は限界質量を超えているためCoreは常に収縮しており徐々に高温になっていっている。元素の燃焼温度に達したら核融合がはじまり最終的に鉄(Fe)が生成される。鉄の原子核は結合エネルギーは最大の為、それ以上重たい原子核を核融合で作ることはできない。

 

元素合成が起こらなくなっても星は関係なく、収縮を続けCoreは更に高温・高密度となる。

 

温度が10^10Kを超えると鉄の原子核がヘリウムや中性子などに分解される光分解が起こる。これにより今まで長い年月をかけてつくりあげた元素が0.1secという短時間で崩壊してしまうのだ。

この光分解は吸熱反応のため、Coreの圧力は一気に低下する。星の中心部が空洞になってしまったようなものだ。Coreは内側から支えているエネルギーを失うため重力崩壊が起こるのである。

 

散乱を受けるニュートリノ

ニュートリノの散乱断面積は非常に小さく通常の密度では他粒子との反応はみられない。

しかし超新星のCoreは非常に高密度であるため他粒子との散乱効果を考える必要がある。ニュートリノはだいたい10^10g cm^-3くらいの密度になると散乱を受ける。

 

Coreは収縮し密度は更に高くなる。密度が10^11~10^12g cm^-3まで高くなった時のニュートリノの反応を見てみよう。

ニュートリノはCoreの内部で散乱を受けながらジグザグな動きをして出てくる。それにかかる時間を拡散タイムスケール(τ_diff)と呼び以下の式で表される。

ここでのRはCoreの半径。l_mfpは平均自由行程と呼び、一回の散乱を受けるまでに移動することのできる距離である。

 

Coreが重力崩壊する時間はダイナミカルタイムスケール τ_dynと呼ばれ以下の式で表される。

この2つの式を見たとき、Coreの密度が10^11g cm^-3の時拡散タイムスケール(300m sec)の方がダイナミカルタイムスケール(100m sec)より長い。これはCoreの中でニュートリノが閉じ込められた事になる。この現象をニュートリノトラップと呼ぶ。

コアバウンスと衝撃波の発生

Coreの収縮と密度の上昇はさらに続く。電子捕獲反応によりCoreの中は中性子過剰となっている。

Coreの密度が10^14g cm-3に達すと核子は高密度環境の為非常に接近している為、核子間に働く「強い相互作用」が大きな圧力をもちCoreの収縮を止める。

 

しかし依然として外側の物質は数万km/secでCoreに向かって落下している。

すると収縮が止まり"硬くなった"Coreの表面でその物質が跳ね返り衝撃波を形成する。この衝撃波が外側まで伝搬すれば星は超新星爆発を起こすのだが衝撃波は高温だ。その為前項で述べた光分解による吸熱効果が働くためエネルギーを失い、中心から200kmくらいのところで停滞してしまう。この衝撃波は定在降着衝撃波(SAS)と呼ばれる。

ニュートリノが担う内部エネルギーと衝撃波の再伝搬

このままでは衝撃波は定在降着衝撃波として停滞したままであり何かしらのエネルギーを注入しないと超新星爆発は起こらない。「衝撃波にエネルギーを注入し、衝撃波を再伝搬させるのか・・・」という正確な答えは現在でていない。今も世界中の超新星研究者がこの答えを導くため研究に取り組んでいる。

 

今最も注目されているのは前項で述たニュートリノだ。重力エネルギー10^53erg はニュートリノが内部エネルギーとして蓄えている。0ニュートリノは散乱を受けながら外へ向かって高密度環境から出ようとしているがこの時、1%でもエネルギーを衝撃波に注入できれば、衝撃波は再伝搬し爆発は起こる。

 

しかし現在の研究ではシュミレーションがうまくいっていない。

 

その他、対流、非球対称性、磁場の効果など近似されている項目も多く今後の研究が期待される。

特に定在降着衝撃波の周囲が流体不安定となりSASI(Standimg Accretion Shock Instability)と呼ばれる流体運動が起こることがわかっているがこの対流運動によりニュートリノ luminosityの増光や、ニュートリノ加熱効率の増加が期待されている。

 

現状、爆発が成功したモデルも存在するが観測されるエネルギーよりもエネルギーが小さく真相はわかっていない。

【参考文献】

  永田 駿介著「ベテルギウスが爆発するって聞いたけど超新星って何?(あすとろん Vo.l 35)」NPO法人花山星空ネットワーク